半田広宣 Kohsen Handa
1956年福岡市生まれ。1989年よりニューサイエンスの研究を糸口として、物質と精神の関係を新しい視座で捉える世界観の理論構築の探究に入る。97年に、処女作『2013:人類が神を見る日』(徳間書店)、続く99年に『2013:シリウス革命』(たま出版)、2001年にはゲージ理論の研究者である砂子岳彦氏との共著『光の箱舟』(徳間書店)を刊行。2008年、その理論の名称を「ヌーソロジー」とし、あらゆる分野との横断を図りながら、現代における新たな体系的理論としてその構築を進めている。現在、ヌースアカデメイア主宰、武蔵野学院大学スペシャルアカデミックフェロー。その他の著書に『シュタイナー思想とヌーソロジー』(ヒカルランド/2017年)、『奥行きの子供たち』(VOICE/2019年)等がある。
テーマ ヌーソロジーから見た人間の意識と量子の関係
昨年の一月、コロナ禍が突然のように世界中を襲い、わたしたちの文明が持った従来の価値観は大きく変更を迫られています。パンデミック以前の賑やかな生活を取り戻したいと願う人たちもいるかもしれませんが、おそらくこれから先、自然はそれを許してくれないでしょう。環境破壊をし続ける現在のグローバル資本主義に支えられた社会・経済システムが抜本的に問い直さなければ、例え今回のパンデミックが収束を見たとしても、第二、第三のパンデミックが襲来してくることはまず間違いありません。今、私たちは人間と自然との関係を根底的なところから考え直す必要性に迫られているのです。
ヌーソロジーでは、こうした問題の元凶が人間の持った科学的世界観にあると考えています。と言って、科学的世界観がここまで発達した社会において、それに変わる世界観を打ち立てることはなかなか容易ではありません。伝統的な宗教を始め、神秘思想から最近流行のスピリチュアルに至るまで、目に見えないものの価値を訴え、より精神的な文明へのシフトを標榜する動きは数多くあるものの、残念ながら、科学的世界観を凌駕できるほどのものはまだ出現してきてはいません。
ヌーソロジーとは現代科学の最先端となる量子論の知識をベースにして、人間の世界認識を物質的なものから霊的なものへと変えていく実践的な理論です。その実践は4次元以上の高次元空間の認識を人間の意識が達成していくところにあります。ヌーソロジーを通した高次元の理解が進んでいくと、主体と客体の分離が消失する感覚が芽生え始め、物質と精神が統合された世界の原-風景が朧げながらも認識に上がってきます。
神秘的達観にも似た、このような高次の空間認識がどのような形で起こってくるのか。また高次の空間認識が生まれてきたとき、私たちの自我意識にどのような変化が起こってくるのか、それらについて、この講義のシリーズを通して、哲学や量子論、さらには古今東西の神話や神秘主義の内容などを交えながら楽しく話して行ってみたいと思っています。何分にもヌーソロジー自体が膨大な思想体系ですので、今回の講義はあくまでも量子世界と意識の関係に焦点を当てた概括的な話になると思いますが、それだけでもとてもエキサイティングな内容になっていますので、皆さん、挙ってご参加いただければと思います。
第1回 3次元認識から4次元認識の世界へ(人間の内面と外面)
第1回目はヌーソロジーの入口となる4次元の空間認識について話していきます。現在の私たちの文明の価値観は物質中心で成り立っています。物質概念自体は3次元の空間認識で成り立っています。その意味で4次元認識とは物質意識から解放される契機となるものです。例えば、一枚の紙には表と裏があります。紙は2次元の平面ですから、これは2次元世界の表と裏になります。そのとき、それを観察しているのは3次元方向からの視線です。それと同じように、実は3次元空間にも表側と裏側があります。ヌーソロジーでは3次元の表側を「人間の外面」、その裏側を「人間の内面」と呼びますが、これらの空間の区別が認識に上がってくることにより4次元意識というものが生まれてきて、3次元には囚われていない真の主体というものの場所が現れてきます。
第2回 複素空間とは何か(素粒子構造と人間の無意識構造)
第2回目は第1回目の内容を踏まえて複素空間認識について、そのあらましを紹介してみようと思います。複素空間とは数学的には虚軸と実軸の世界が入り混じった空間のことで、量子力学が展開する空間も基本的にこの複素空間で構成されています。まずは、量子が粒子と波動の二重性を持つことの意味や、位置と運動量を同時に測定できないことの意味について語ったあと、量子世界が私たち人間の自我意識を作り出している超越論的無意識の世界であることを構造的に紹介していきます。
第3回 量子世界の幾何学について(量子同調のテクノロジーについて)
1回目と2回目の話の総合を行う意味も含めて、素粒子を生み出している高次元の幾何学構造について話してみようと思います。素粒子の世界は一見複雑に見えますが、ヌーソロジーの思考を通して見ると、とても美しい幾何学的秩序によって構成されていることが分かってきます。その基本はスピリチュアルの世界で「マカバ」と呼ばれる二つの正四面体が互いに交差して形作られる幾何学形態です。ヌーソロジーはこの幾何学形態の意味合いを高次の視点から解析し、その形態を電気的な回路に変換することによって量子同調のテクノロジーを提供してきます。最終回は、実際にこのテクノロジーを応用したエネルギー調整器(NC-cube)の仕組みや効用などについても話してみたいと思います。このエネルギーはエネルギー医学の観点からみても応用可能なエネルギーになり得るかもしれません。